知的財産を守るには?

貴方がある日突然ひらめいて、こんなものを思いついたとしましょう。

 パンダ模様のタヌキ 「PON!da」(ポンダ)」 のぬいぐるみおもちゃ
 かわいらしいパンダ模様のタヌキのキャラクター人形です。

PON ! da ロゴ入り.gif


  •  貴方はとても才能豊かなので、PON!daのイラストを・き、ロゴをデザインし、その上、ぬいぐるみの中にマイクロコンピュータやセンサー、メカを組み込むことで、小さな子供が半径1メートル以内に近づいた時だけPON!daがその場ででんぐり返って「ポン!」とお腹を叩く、というおもちゃまで創ってしまいました。
     これはもう立派なハイテクの「知的財産」です。

     これは絶対売れる!と確信した貴方は、知り合いの町工場に頼んで試作品を作り、おもちゃメーカーに売り込みました。
     PON!daのキャラクターは文房具や子供服、お菓子のメーカーにも売れるかも知れません。PON!daを主人公にしたアニメドラマの制作も夢ではありません。

     でも、PON!daがヒットすれば、きっと誰かがマネをして類似品を売り出すでしょう。
     さて、貴方はどのようにしてPON!daを守ればいいでしょう?

■特許権で守る
  •  PON!da人形のメカニズムが「半径1メートル以内に近づいた子供だけをセンサーで感知して作動する」従来まったく前例のない新しい技術だとすると、特許法上の「発明」に当たり、特許権を取ることができるかも知れません。
     貴方は特許庁に対してPON!da人形のセンサー技術を特許出願するべきでしょう。
     特許権が取れれば、他人が同じセンサー技術を使った製品(おもちゃに限らない)を製造販売した場合、それを差し止めたり、損害賠償請求できるようになり、貴方だけがこのセンサー技術で儲けることができるのです。

■意匠権で守る
  • PON!daのぬいぐるみは従来なかったとてもユニークなものなので、意匠権を取ることができるかも知れません。貴方は特許庁に対して「意匠に係る物品」を「動物おもちゃ・ほ乳類・タヌキ型」として「PON!da」人形のデザインを意匠登録出願するべきでしょう。
     意匠権が取れれば、他人がPON!daに似たデザインのぬいぐるみ人形を製造販売した場合、やはり差し止め、損害賠償を請求できるようになり、貴方だけがPON!da人形で儲けることができるのです。

■商標権で守る
  •  あなたが考えたPON!daのロゴマークや「ぽんだ、ポンダ」という呼び名は、これまでどんな商品・サービスについても誰も商標登録していませんでした。
     ならば、あなたは特許庁に対して、指定商品「おもちゃ、人形、文房具、子供服、菓子」などについて商標を「PON!da、ぽんだ、ポンダ」として商標登録出願をするべきでしょう。
     商標権が取れれば、他人が貴方に無断で「PON!da、ぽんだ、ポンダ」を付けてこれらの商品を販売することはできなくなるのです。(PON!daに似た紛らわしいロゴマークも使えません。)

■著作権で守る
  •  貴方の・いたPON!daのイラストやロゴマークには、それが貴方のデスクの上で完成した瞬間に著作権が発生しています。(1)〜(3)の産業財産権とは異なり、貴方は国のお役所に対して何の手続もする必要はありません。
     もちろん、PON!daのイラストを基にしたキャラクター自体にも著作権は発生しますから、幅広い商品やメディアによるキャラクターの利用や商品化についても、貴方は権利を持っているのです。
     ですから、どんなメーカーやプロダクションも貴方に無断で「PON!da」のイラストやロゴマークを使うことはできません。
     また、仮にあるメーカーが貴方から、PON!daのイラストの著作権を買い取ったとしても、貴方の承諾なしには「PON!da」のイラストに手を加えて使うことはできません。
     イラストの著作権者でなくなった後も、貴方には著作者人格権が残っているからです。

■独占禁止法で守る
  •  残念ながら貴方が特許権、意匠権、商標権を取れなかったとしても、まだ手はあります。
     例えば、貴方が、PON!daのぬいぐるみを発売してから3年以内なら、誰かが、PON!daをそっくりマネたぬいぐるみ人形を日本国内で販売した場合、貴方は相手を訴えて販売差し止めや損害賠償を請求できる可能性があります。
     コピー商品の販売は不正競争防止法で「商品形態模倣行為」として禁止されているからです。
     また、発売から3年以上経っていても、すでに、PON!daがヒットして有名になっていれば、やっ造り他人のコピー商品、類似商品の販売にストップを掛けることができるかも知れません。
     この場合、「周知表示混同惹起行為」や「著名表示冒用行為」に当たる可能性があるからです。


 PON!daはいろいろな知的財産権のカタマリですから、貴方はこのようにいろいろな法律や制度によって、複合的にこの知的財産を守ることができるのです。
 ここでの「PON!da」はあくまで架空の例ですが、貴方は自分の知的財産の性質や内容によって適切な法的保護を選択するべきでしょう。