著作権の登録申請について

■著作権の登録制度とは?
  •  著作権は著作物を創作した瞬間に自動的に発生します。(未完成段階でも発生する場合があります。)
     ですから、著作権を得るためには、なんらの登録も届出も必要ありません。

     では、なぜ著作権の登録制度が存在するかといえば、著作権に関する法律事実を公示したり、著作権が移転した場合の取引の安全を確保するためです。

     たとえば、もともと著作物を創作した著作者に発生している著作権を他人に譲渡した場合に、譲受人はその事実を文化庁へ登録しておかないと第三者に対して自分が新たな著作権者であることを主張できません。ですから、譲受人は自分が譲り受けた著作権の安全を確保するために登録制度を利用するのです。

     著作権の登録制度には次のようなものがあります。


著作権・著作隣接権の移転等の登録
  •  上で述べたように、著作権などが移転されて、誰が現在の著作権者であるかを法律的に明らかにするための登録です。

出版権の設定等の登録
  •  出版権の設定や移転、出版権を担保にお金を貸した場合の質権の設定などの登録を受けるものです。著作権の移転登録と同様に、法律事実を公示して取引の安全を図るものです。

実名の登録
  •  無名または変名で公表された著作物の著作者が、本名の登録を受けるものです。
     この登録を受ければ、無名・変名の場合公表後50年となっている著作権の存続期間を、著作者の死後50年へと延ばす効果があります。

第一発行年月日等の登録
  •  この登録を受ければ、反証がない限り、登録された日に著作物が第一発行または第一公表されたものと推定され、著作権の存続期間を明らかにすることができます。

創作年月日の登録
  •  プログラムの著作物の著作者が、そのプログラムの創作した年月日を登録するもので、著作権侵害などの紛争に備えて、自分が相手より先に創作していたことの証拠を確保しておくために利用されています。


     なお、プログラムの著作物以外の著作物の場合、創作しただけでは登録はできません。著作物を公表したり、著作権を譲渡したといった事実があった場合のみ登録が可能となります。
     言い換えれば、公表する前の著作物についての著作権は、確かに発生はしているものの、法的には十分な保護がなされていないことになります。

     ちなみに、著作権の移転登録は移転した側(登録義務者)とされた側(登録権利者)の双方が共同ですることになっています。
     また、登録は、複製権や録音権、録画権といった個別の権利(支分権)ごとに、しかも期間や地域を限定してできるので、著作権を譲り渡した側にとっても、自分の著作権のうち、どの部分を譲渡し、どの部分は手許に残しているか、といったことを明らかにするといった効果もあるといえます。


■著作権譲渡契約の検討なども含めた登録申請
  •  Izu-officeでは上記のような各種の登録申請をうけたまわります。
     特に著作権譲渡の登録の場合は、取引上のリスクやメリットも念頭に置いて、どの支分権についてどのような条件で譲渡すべきか(あるいは譲り受けるべきか)など、譲渡契約の内容についても検討し・アドバイスさせていただきながら、登録申請をいたします。

     また、すでに登録されている著作権の移転申請も行います。
     著作権者の住所や法人名義が変わっている場合は、住民票や登記簿謄本、閉鎖登記簿謄本を用意して登録事項の変更申請を行う必要がありますので、そうした作業も含めてうけたまわります。

     一方、譲渡契約や登録申請の前に、そもそも対象となる著作物が法的に保護されるものであるか、保護期間は有効か、利用目的が著作権譲渡を必要とするものかどうか、などの著作物調査もさせていただきます。


■著作権の存在事実証明について
  •  先に述べたように、現行の著作権登録制度は著作権の発生や存在を法的に裏付けるものではありません。著作権が発生しているか否か、いつ発生したのか、という点についての法律的な判断は裁判所しかできないのです。

     したがって、私どもでは「著作権の存在事実の証明」を業務としてお受けすることはできません。

     ただ、現実問題として、創作物である営業秘密や企業ノウハウなどの盗用にまつわる紛争の際に、それらの創作時期や先使用の証明が必要となる場合があります。

     そのための証拠づくりとして、公証人役場を利用した確定日付の取得や自己宛書留郵便の引受時刻証明(日付印)の利用などの方法があります。
     さらに、インターネットのホームページ上での著作物の公表日付の証明に、独立行政法人情報通信研究機構の日本標準時サイト(JST CLOCK)を活用する方法などの方法もあります。

     こうした営業秘密や企業ノウハウの防衛の観点から、アドバイスやご提案をできることもあるかと存じますので、ぜひ一度私どもにご相談いただければと思います。
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